国際結婚の結納事情

はじめに

国際結婚は結婚全体の割合で見るとわずか3%台と決して多いとは言えないようですが特にベトナム人やフィリピン人などをはじめとする東南アジアの人たちとの国際結婚にみられるように存在感は日に日に増していることも確かです。

 

おそらく読者様の中にも国際結婚を検討されている方がいるのではないかと思うのですが日本国内の通常の結婚とは違うことだらけで戸惑うことも多いのではないでしょうか?

 

今回は国際結婚での結納に纏わる事情を解説していきますが実は日本国内でも「結納」という言葉に耳慣れない人は意外に多いそうです。その背景を説明しつつ国際結婚するときの結納に関する事情を解説していきますがポイントを先に述べるとパートナーの宗教で相当するものがあるかどうかが一通り分かります。

実は国内でもバラバラな結納

結納とは「結婚を公にする」という意味があり、そのため、結納の儀を交わして両家の結びつきを祝うという意味も秘めています。その際に花婿の家から花嫁の家に結納金(≒結婚準備金)が払われることがあるのですがこのような結納の実施は実は津々浦々で行われているというわけでもないのです。

 

日本全国における結納の実施率は平均30%とこの時点で意外に高くないことが分かります。高いところだと青森、岩手、秋田の北東北3県で40%台、低いところだと北海道で10%台と実施率の高いところと低いところの開きが極めて大きいことがよく分かります。なお、結納を実施した場合の結納金の平均相場は約92万円前後です。

果たして国際結婚の場合は?

結納自体は日本固有なのでそっくりそのままのものが海外にあることはありません。しかし、それでも結納に相当するいわば結婚契約なるものは各所に存在しています。しかし、それは必ずしも金であるとは限りません。これを理解する上で国で調べていくよりも宗教圏ごとに分けた方が理解しやすくなるので今回は世界三大宗教であるキリスト教圏、イスラム教圏、仏教圏に分けて紹介します。

<キリスト教圏>

キリスト教圏においては教会で神父が聖書を片手に新郎新婦に問いかけ、その後新郎新婦が神父に向かって宣誓することになっています。ドラマなどを見ると宣誓が終わった新郎新婦がお互いにキスしているようなシーンも見受けられますがこの宣誓こそ実は結納に相当するものになっています。キリスト教圏においては神に宣誓することが愛の誓い、すなわち結婚契約として認識されているため、その際に金品の受け渡しなどは一切発生しません。すなわち、相手がクリスチャンでキリスト教式に結婚する場合の結納金に相当する額はまちがいなく文字通り0円ということになります。

<イスラム教圏>

キリスト教から派生してできた背景を持つイスラム教ですが結納に相当する結婚契約の見方というのはキリスト教圏のものとは大きく異なり、むしろ日本の結納にかなり近いものがあると言えます。これはイスラム教圏で「マフル」と呼ばれる結婚契約で、花婿から花嫁に金品を渡すというもので、日本でいう結納に酷似しています。一昔前は家から家への受け渡しだったので現在以上に日本の結納に酷似していました。相場とは言ってもイスラム教圏は中東のみならず中央アジアや東南アジア、近いところだとフィリピンのミンダナオ地域や中国西部(蘭州、新疆ウイグル自治区など)やヨーロッパのバルカン半島地域などと大変広いので一概には言えません。例えばサウジアラビアの場合だと初婚で150万円前後であることが殆どで、多くの場合は日本の結納金の相場を上回ると見ていいでしょう。ただし、コーランにも記述がありますが必ずしも金である必要はなく、不動産などのその他財産でも良いともあります。

<仏教圏>

日本も仏教圏には入ります。仏教圏の結婚観は世界的に見ると特異的で、なぜならそこに親孝行という要素が表立って強く入っていることが多いためです。日本でいうところに結納金にしてもこのようなお金のやりとりもまた親孝行の一環であるとみなされています。しかし国際結婚となると実は最もややこしくなるのが仏教圏の場合です。これは何故かというと相場が極めて曖昧であるためです。国ごとに相場があるのかと思えば特に東南アジアの場合は花婿の器量をためすためかふっかけてくるケースも多いので相場というよりは話し合いを通して結納金に相当する金額を決めることがメインになってきます。いずれにせよ、最低でも50万円は見積もっておきましょう。

おわりに

いかがでしたでしょうか?今回は国内外問わずバラバラな結納事情について解説させていただきましたが結論としてはパートナーの宗教、もしくはパートナーの母国で主流な主教を把握すれば以後どう対応すればいいのかがすぐに分かります。ですからパートナーの国と文化の理解は怠るべからずということです。