国際結婚の離婚率の本当の事情は?

はじめに

題名からして明るいトピックにはなかなか思えないですが国際結婚に関する正しい理解を得るためにどうしても避けては通れないのが国際結婚の離婚率というトピックです。

 

国際結婚の日本国内の結婚全体に占める割合は現在では3%台とむしろ少ないですが、離婚率に関する統計はまた事情が違います。

 

一般的に国際結婚は通常の日本人同士の結婚と比較して離婚率が高いと言われています。ただし、大切なのはそうなる背景を知ることです。

 

この後衝撃的な数字が登場しますがこの数字の裏には様々なカラクリがあり、実態を反映しているとはいえません。この記事を通して「国際結婚→離婚」という構図になるわけではないということを理解していただければと思います。

国際結婚の離婚率の本当の事情

国際結婚の離婚率は一般的に通常の結婚より高いと言われていますがその裏には様々な統計のカラクリがあります。また、一概に国際結婚で一括りにするのではなく、性別、国籍でさらに分けてみるとさらに実態が見えやすくなります。なお、統計データは主に厚生労働省の平成29年度人口動態統計を参考にしました。

①60%という数字に惑わされるべからず

グーグルなどで検索にかけると60%という数字がよく目に入ります。これは国際結婚の離婚率の全体平均なのですが一見尋常になく高く見えます。しかし、冒頭でも述べたように国際結婚は結婚全体のわずか3%程度を占めているに過ぎません。つまり、分母が小さい一方で分子は小さくないのでこのような数字が簡単にでてきてしまうのです。しかし、全体平均が60%であるにしてもこれが全ての国籍に対して通じ得るかというとそうとは考えられません。その理由については後ほど改めて解説することにしましょう。

②離婚件数自体は減少傾向

視点を割合ではなく離婚件数そのものに変えると別のものが見えてきます。直近  で最も件数が多くなっていたのは平成22年度の18968件でしたがそれ以降減少傾 向が見られるようになっており、最後にデータがとられた平成29年度では11569 件となっています。この時期は国際結婚の婚姻件数が伸び悩んでいたか若干減っていた時期に重なりますが離婚件数の減少幅が大きいところは注目です。しかし、それでも割合にすると全体平均が6割になっているところが依然として腑に落ちません。次の項で数字を押し上げている要因を見てみることにしましょう。

③夫が日本人だったときの離婚件数及び離婚率

それではここから性別、国籍に分けて分析していくことにしましょう。まずは男性からみていくことにしましょう。なお、ここでは平成29年度(2017年度)のデータをもとに分析しました。

まず、離婚件数の場合ですが多い方から順番に中国(3192件)、フィリピン(2712件)、韓国及び朝鮮(1174件)が最も多い3か国になりました。ここで考えられる要因としては特に中国と韓国の場合はもともとの結婚母数も多いということも考えられます。これを裏付けるものとして離婚率に直すと上位に躍り出ないためです。

離婚率についてはどうなのかというと上位3国籍は多い方から順番にその他(複数か国、詳細は不明だが約40%になっている)、タイ(約37%)、フィリピン(約35%)の順になっており、離婚件数で上位に入っていたフィリピンも含まれていました。

タイについては典型的な分母と分子の差が小さいことでこのような数字になっていますが外見だけで結婚してしまう人が実際には少なくないようです。また、フィリピンについてはフィリピン側への仕送りが衝突のタネになって離婚に至ってしまうというケースもあります。

逆に離婚件数が少ない国籍上位3か国は低い方から順に英国(17件)、ペルー(39件)、米国(43件)で、離婚率で低い方から並べると韓国及び朝鮮、英国、米国でした。この中に離婚件数の多めだった韓国及び朝鮮も入っているところに注目です。

④妻が日本人だったときの離婚件数及び離婚率

それでは反対に妻が日本人だった場合の離婚件数及び離婚率はどうなのでしょう?離婚件数から見ていくと、まずは多い方から順に韓国及び朝鮮(628件)、フィリピン(467件)、米国(352件)が上位3位になっています。男性のときとは反対に米国が上位に入っているところに注目です。

離婚率はというとフィリピン、タイ、中国が上位3か国になっており、中でもフィリピンについてはなんと6割にも上っています。また、実態として米英2か国とも離婚しやすい傾向にあるとも言われています。いずれにせよ、フィリピンとタイが上位にはいっていたところは男女共通事項のようです。

なお、離婚件数の低いところはタイ(27件)、ペルー(56件)、英国(68件)で、この中に離婚率上位に入っていた国も見られますがこれは分母と分子が近いことに起因していると見ていいでしょう。

まとめ

離婚率の全体平均が70%であっても国籍別、性別で分けてみると実態として6割を満たしているところは極めて少ないばかりか、3割すら超えていないところの方がむしろ多いです。それでもフィリピンの数字が際立ってしまっているところについては確かに懸念を禁じ得ないところがあります。

 

それでも離婚件数自体は減少傾向にあります。残念ながら国際結婚に限らず離婚は相手への理解の足りなさですぐに引き金になります。ですから離婚率の数字を見て戸惑わず、相性など、相手のことをよく理解するよう努めたいところです。