国際結婚の結婚式はどっちの国でやる?両国でやる?

結婚が決まったら楽しくも面倒な結婚式の準備が始まります。

国際結婚の場合、最初に持ち上がる問題は「どちらの国で結婚式をあげるのか?」ということ。

 

結婚式は両家の親族が公式に対面する場所でもありますから、式場選びは両家の利便を尊重して決める必要もあります。

どちらの国で挙式すればいいのか、他にどんな選択肢があるのか、それぞれの長所と短所を挙げながら、場所選びのヒントを探ってまいりましょう。本文は日本人読者のために日本人の視点から書かれています。

1.相手の外国で1度挙式する

相手の外国に生活基盤を置いているカップルが選択するケースです。

日本に生活基盤があるのに相手国を選択する場合は、その国に特別な思い入れや、その国の挙式スタイルへの憧れがある場合もあります。

特に相手が欧米人だと、欧米スタイルの「歴史ある教会で挙式+シャトーで披露宴」といった夢のブライダルセットに憧れる花嫁も少なくありません。

【メリット】

(1) 日本とは違う異文化の挙式スタイルを経験したい新郎新婦にとって、オリジナリティのあるより思い出深い挙式になるでしょう。

(2) 1回分の挙式費用だけですみ、経済的にお得です。日本の挙式費用は他国と比べても法外に高額ですから、外国の結婚式は安上がりで済みます。

(3) 日本の招待客がこの機会に相手国の海外旅行も合わせて楽しめます。

(4) 相手側の招待客にとっては地元国ですから、相手側の経済的、時間的負担は少ないです。

【デメリット】

(1) 相手国の距離にもよりますが、遠い場合は日本人招待客の旅費が嵩み、旅費や宿泊費を新郎新婦側が負担する場合はかなりの出費になります。

(2) 日本からの参列者が相手国側と比べ極端に少なくなります。挙式費用は招待客の比率によって分担すれば、平等に配分することができます。

(3) 日本のように祝儀の習慣はない国が多く、あっても少額な国も多々あり、挙式費用を祝儀でまかなうといった期待は持てません。

(4) 相手国の言語・習慣などに慣れていない日本人招待客がとまどったり、緊張することもあります。

例:欧米の結婚式では必ずといっていいほど「ダンスシーン」があります。新郎新婦だけでなく、招待客も一緒に踊ってカップルを祝う、という風習があるため、踊りに慣れていない年配の日本人招待客は躊躇します。

(5) 相手の外国人親族や招待客と会話がうまくできず、交流がスムーズに行かない場合もあります。

例:挨拶も欧米ではハグやキスが一般的ですが、スキンシップに慣れていない日本人はとまどう場面も多々あります。

(6) 披露宴では相手国の食べ物が合わず食事が楽しめない日本人もいます。

(7) 日本のようにウェディングプランナーが存在しない国も多く、自分たちで挙式を全て計画・準備しなければならないため、楽しいながらもかなりの労力を要します。

2.日本で1度挙式する

日本に生活基盤があったり、相手が日本贔屓で日本式挙式を望む場合に多く見られます。この場合は、ウェディングではなく日本の神道・仏教に則った伝統的な挙式スタイルで挙行するケースが多いようです。

【メリット】

(1) 日本側からすれば、日本の招待客の移動も国内で便利ですし、移動費などの経済的負担が少なくてすみます。

(2) 親族や友人など、多くの日本人招待客に祝ってもらえ、家族的な雰囲気で楽しむことができます。

(3) 祝儀の習慣があるため、挙式費用のほとんどを祝儀で賄うことができます。

(4) 挙式は全てウェディングプランナーが執り行い、面倒な手続きや準備はプロにお任せすることができます。

(5) 相手の招待客に日本を知ってもらい、日本旅行や日本文化を楽しんでもらえます。

【デメリット】

(1) 相手の招待客の移動など経済的負担、言語・習慣の違いによる意思疎通の困難などは、上記の「相手国で1度の挙式」のケースと同じです。特に日本の習慣も外国人によっては奇異に映ることもあるので、相手の立場に立った注意が必要です。

例1:日本の親族が相手の親族を温泉旅行に招待し、両家の親同士が裸で温泉に一緒に入ることになり、裸で風呂に入る習慣のない外国人親族は、相手の親の前で恥ずかしくてかなり躊躇したという実話もあります。

例2:外国では親族は優先すべき招待客です。日本の披露宴のように、日本人親族が最後尾に控えるといった「謙虚な美徳」は通用しません。外国人の親族はプレミアムな位置づけに気を付けましょう。

(2) 折角の国際結婚なのに、外国の挙式風景を経験できないのはもったいないかもしれません。特に欧米の場合は、歴史ある教会+シャトーで豪華なウェディングドレスで挙式するのは女性の憧れでもあります。

(3) 祝儀が期待できるとはいえ、日本での挙式費用は外国より高くつきます。

3.相手国と日本で2度挙式する

休暇を自由にとれるなど時間的な融通が利き、経済的にも余裕があるカップルが選択するパターンです。

 

結婚準備も2回分ですから、気力体力も倍必要となりますが、一度に2国で挙式しなくても、数カ月や数年後、あるいは何かの記念日に相手国で挙式する、といった時間差ダブル婚も増えているようです。また、1度目は挙式・披露宴とも華やかに、2度目は相手国または自国で親族だけによる親睦的なパーティといった例も増えています。

【メリット】

(1) 異なる2つの文化や価値観をそれぞれの国で別々に体験できるため、相手国の習慣などへの順応努力を互いが経験することができ、文化の摩擦もなく平等感が両家にしこりを残しません。

(2) 2国の招待客の移動負担が少なくてすみ、ゲストを自国へ呼び寄せるといった気遣いや出費もなく、結果的に挙式費用を抑えることができます。

(3) 招待客の中には、年配の方や子供、乳児などもいるため、両国で挙式できれば長距離移動の負担を無くすことができます。

(4) 両家が互いの国を訪問するため互いの国を知ることができ、互いの国へのリスペクトが両家の絆をより深めます。

(5) 日本の挙式では和装、相手国では洋装や各国の民族衣装などで行うといった、2つの挙式スタイルを楽しむことができます。

(6) 両方の国で挙式をすることで、1国のみの挙式に比べより多くの招待客に祝福してもらえ喜びを共有できます。

【デメリット】

(1) 挙式費用が2倍かかります。特に結婚にかける費用が高い日本での挙式は、日本サイドだけの負担になるため、挙式費用を援助する日本側の親族に大きな負担となります。

(2) カップルの仕事のスケジュールが合わない場合は難しいです。新郎新婦が共働きだと2人の休暇予定を合わせるのはなお困難ですし、新郎が日本のサラリーマンだと2回も婚姻休暇をとるのは仕事社会の日本では厳しいかもしれません。

(3) 2度の結婚式は2国のしきたりに則った2種類の準備が必要なため、気力体力も2倍使います。

4.相手国や日本以外の第3国で挙式する

2国どちらともで結婚式を挙げられないカップルが、両者の完全公平を期すため選択する挙式パターンが、相手国でも日本でもない別の国での挙式です。

「互いに思い出のある国で結婚式を挙げたい」「新婚旅行と結婚式を一緒にしたい」といった浪漫と実用が混在する一挙両得な挙式として、現代の若者に注目されています。

場所は日本と相手国の中間に位置する国や、日本で人気のハワイの他、カリブ海、セイシェル島といった世界的なリゾート地でロマンチックウェディングを行うケースもあります。

【メリット】

(1) 結婚式と新婚旅行を兼ねているので時間、費用ともに節約できます。

(2) カップルにとって思い入れの強い国なので、ロマンチックで思い出深い、より印象的な挙式を体験できます。

【デメリット】

(1) 両家の親族や招待客を第3国に呼び寄せるので、旅費・滞在費を新郎新婦が持つ場合はかなり割高になり、結局費用的には一番出費の多い挙式スタイルと言えます。

(2) 仮に費用を抑えるため招待客数を少なくしたら、晴れの日に祝ってくれる人も少なく、なんとも寂しい挙式となります。挙式は少人数で十分という現代的な若者も増えていますが、やはり結婚の喜びは多くの人と分かち合いたいものです。

(3) 外国で挙式するカップルのためのウェディングプランナーも日本には多くいますが、専門家に依頼するとやはり高くつきます。また経費節約のため自分たちで挙式準備するとしても、自分たちの知らない第3国では様子や手順もわからず、コーディネートに労力を費やします。

5.結婚式を挙げない

結婚式を挙げる経済的、時間的余裕がない人、挙式準備にかかる労力が面倒というカップルの中には、形式にとらわれず、書類のみの婚姻で満足し挙式をしない人も増えています。

 

特に、欧米などでは同棲や事実婚といった、法に守られた家族制度も存在するため、国際結婚でも挙式せずこうしたパートナー契約を結ぶ人も増えています。

【メリット】

(1) なんと言っても経費と時間の節約です。結婚式にあてる費用を全て生活費や旅費に回せるので、経済的な新婚生活と言えるでしょう。

【デメリット】

(1) 自分たちを育ててくれた両親へ「結婚式」という形で感謝を告げ、けじめをつけることができないことや、他の親族や友人たちと喜びを分かち合えないのは寂しいものがあります。

6.まとめ

価値観が多様化する現代、結婚相手の選択肢も結婚のスタイルも多様に変化しています。

国際結婚では当事者が2つの国にまたがるため、挙式の場所選びも単純には進みません。

 

文化や風習も異なる2国の狭間でジレンマや問題点も出てくるでしょうが、結婚するのは自分たちですから、本人が本当に希望する形式を2人で見つければいいのではないでしょうか。

挙式の場所や回数など選択肢は多様ですが、上記で挙げたメリットやデメリットを参考にしながら、皆が幸せになれるような結婚式を計画して下さいね。