国際結婚で両家の親同士の挨拶はどうする?

近年は結婚を嫌い結婚しないカップルも増え、海外では事実婚の法規制も進んでいますが、結婚は家族の結びつきでもあり、親族や知人友人に祝ってもらうと同時に育ててくれた両親に「感謝」を伝える場でもあります。

 

家族に喜んでもらう結婚にするためにも、結婚が決まったら、いえ、結婚が決まるずっと前から相手を家族に紹介し、両家の親同士が打ち解けることは大事な心掛けと言えるでしょう。

 

日本人同士の普通の結婚でさえ、生活環境の異なる2組のカップルの親同士の面会は緊張するものですが、異文化で言葉も通じない国際結婚の場合、どうすれば親同士の挨拶がうまくいくのか、また国際結婚だからこそしてはいけないことは何なのか、予め知っておくと間違いはないでしょう。

1. 婚前の両家顔合わせが必要な理由

日本には婚前に両家の間で結納という儀式があり、それとは別に顔合わせ食事会がありますが、近年では後者だけを行うカップルが7割以上と大半を占めています。

国際結婚では相手が外国という遠距離なため、結婚式で初めて親同士が対面するというケースも少なくありません。

 

しかし結婚は家族同士の結びつきでもありますから、「両家顔合わせ」は本来の婚姻のしきたりというより、相手家族に対する暗黙の「敬意と礼節」として必要なステップと言えます、親同士が事前に挨拶を交わすことで、その後の結婚生活においても両家とも円滑な関係性を築いていけるでしょう。

 

親は誰でも子供の結婚に不安がついてまわるもの。ましてや習慣・文化・言葉の違う外国人との結婚では全く違う世界に子供が飛び込むようで親の心配も半端ありません。

 

そんな不安を打ち消すためにも、婚前に外国人の相手とは勿論、親同士が顔を合わせ互いをよく知り、談笑し打ち解けることで、相手やその家族を信頼でき、互いに子供の将来に安心を抱き喜んで結婚を祝福してくれるのです。

2. 両家顔合わせの場所選び

国際結婚の場合、両家が顔を合わせるのは日本、相手国などが選ばれますが、両国の中間地点の第3国という選択肢もあります。

 

相手の両親を生まれ故郷に招いて顔合わせするのが親睦を深めるのに最適な場所ですが、親が地方在住の場合、国際便の飛行機が発着する大都市と地方間の移動は大変ですから、国際空港がある大都市まで足を運び、両家が旅行を兼ねて自国を観光案内しつつ、相手の親と懇親を深めるというケースもあります。

 

特に観光名所があまりない地方在住の場合は、折角海外から来る両親に対して観光も楽しんで欲しいでしょうから、大都市でなくても観光名所が沢山ある都市などで顔合わせするのもいいでしょう。

3. 顔合わせと結納の違い

(1) 結納とは?

ここでご紹介する顔合わせは日本の結納とは違います。結納は1600年前から存在する日本伝統の儀式で、両家の間で「結納品」や「結納金」などの金品を取り交わします。

 

結納には仲人が媒介する「正式結納」と、両家同氏で執り行う「略式結納」があり、近年で仲人を仲介しない略式結納が一般的です。略式とは言え、結納品の飾り付けから始まり、両家の結納品、受書の授受、婚約記念品の披露など、儀式的な要素が強いものです。

(2) 顔合わせとは?

顔合わせは儀式的な目的はなく、ホテルやレストランなどで食事と共に行われます。

両家を対面させ親睦を深めることを目的としていますが、日本式の「顔合わせ食事会」では、

1)はじまりの挨拶

2)両家の紹介

3)婚約記念品のお披露目(婚約指輪など)

4)記念撮影

5)乾杯の挨拶

6)会食と歓談

7)結びの挨拶とお礼

といった、儀式的な要素が強く感じられます。

 

家庭にもよりますが、国際結婚の場合は一般に、顔合わせ食事会でこのようなステップを踏む必要はなく、親族同士がそれぞれの国や身近な話題などについて和気藹々と話し合う「気さくな親睦会」と心得ておけばいいでしょう。

4. 両家顔合わせで日本人の親が注意すべき点

沢山ある相手国を一つにしぼるのは難しいのでここでは日本人の両親に焦点をあて、両家の婚前の顔合わせで相手の両親が日本にやってくる場合、また日本人の両親が相手国に行く場合に注意すべき点を幾つかご紹介します。外国人パートナーも事前に知っておくと役に立つでしょう。

(1) 外国人の両親を日本に迎える際の注意点

相手国にもよりますが、大切なことは相手の文化を尊重することです。

おもてなしの食事やレストラン選びも相手の食生活に配慮することが大切です。

 

牛肉を食べないインド、ハラルと呼ばれる処理を施した肉しか食べないイスラム国といった文化の違いへの配慮は勿論、和食が世界に侵透しているとは言え、刺身など生魚が苦手な外国人や、目がグロテスクに見える尾頭付魚は馴染めないという欧米人も多いですから、食事については予め両家で打ち合わせておくといいでしょう。

 

観光を兼ねて日本の寺社などを訪れた時にも、相手の宗教によって仏教や神道には「参拝」できない外国人もいますから、観光訪問にとどめ無理に手を合わせて参拝という儀式を薦めない方がいいでしょう。キリスト教の欧米人も信仰深い人は神仏殿の前で敬意は表しても拝まない人も多々いるのです。

 

両家が一緒に観光旅行する場合、宿泊に日本風旅館を選びがちですが、畳や敷布団に違和感を覚える外国人もいるので、和風旅館を望むのか洋式ホテルがいいか、事前に確認した方がいいでしょう。和風旅館がOKの場合でも、両家の親同士が温泉に裸で一緒に入る、という場面は絶対に避けた方がいいでしょう。「裸の付き合い」は外国には存在しませんから、相手にとって「恥辱」以外の何物でもありません。

 

挨拶にはお土産がつきものですが、外国によっては「土産」文化のない国もありますから、相手の外国人は両親に日本に行く際はお土産を忘れないよう伝える方がいいでしょう。

(2) 日本人の両親が相手国に行く際の注意点

相手の両親に会うため外国に行く日本人両親が、日本人として気をつける点について言及します。

 

結納という習慣のある日本では、両家の顔合わせの際、日本から持参したお土産と同時に「お金」を渡す親もいるようですが、これには外国人は恐縮を通り越して驚愕します。

 

日本ではお年玉、冠婚葬祭などで金銭の授受が習慣化していますが、外国にはそのような習慣がほとんどないため、逆にお金を差し出したりすると、「上から目線のお恵み」と勘違いされてしまうこともあるので要注意です。手土産は気軽な日本的な雑貨やお菓子などで十分なのです。

 

多くの外国では日本以上に家庭の位置づけが重く、高級レストランに招待するよりも家庭に招くことが最高級のおもてなしと考える国も多々あります。顔合わせ食事会が一流ホテルや高級レストランで行われなかったといって、失望しないことです。欧米人のおもてなしの極意は「どれだけお金を使ったか」ではなく、「どれだけくつろいで楽しんでもらえたか」に尽きますので、外国で両家顔合わせをする場合は、「親睦」に重点を置いて異文化を楽しむことに集中して下さい。

5. まとめ

国際結婚では両家による結納は特に必要ありませんが、婚前の両家顔合わせは将来家族間の信頼関係を深める上でも重要な行事です

 

。顔合わせをどちらの国で行っても、わざわざ遠出してくれた方の家族を十分におもてなしすることが大切です。言葉も通じない異文化同士の家族では、ちょっとした言動が不信や不安を与えてしまうので、面会する前に両親に予め相手の国や文化について予習してもらう方がいいでしょう。

 

相手を思いやる心や敬意があれば、言葉は通じなくても気持ちは伝わるものです。国際結婚をする子供たちによって、親同士が異国の壁を取り払い、異国への視野と関心をさらに広めていってくれることもまた国際結婚の利点と言えるでしょう。