国際結婚して配偶者ビザを貰うまでの手続の要件、注意点、流れをやさしく徹底解説

登場人物

ジョン&花子

外国人男性と日本人女性のカップル。国際結婚して日本に済む予定

ビザ先生

「国際結婚」と「配偶者ビザ」のサポートに強い行政書士

【目次】

1. そもそも配偶者ビザって…

2. 国際結婚の手続きはどっちの国が先?

3. 配偶者ビザの取得パターン

3-1) 「外国に住んでいる夫や妻を日本に呼ぶ」パターン

3-2) 「海外に住む夫婦が一緒に日本に移住する」パターン

3-3) 「短期滞在ビザ・ビザ免除で来日し、配偶者ビザに切り替える」パターン

3-4) 「中長期ビザで滞在している人が配偶者ビザに切り替える」パターン

3-5) 「日本人と離婚し、別の日本人と再婚して配偶者ビザを更新する」パターン

4. 配偶者ビザの審査をパスするには

4-1) 「安定的かつ継続的な収入」の要件

4-2) 「婚姻の真実性」の要件

5. 配偶者ビザ申請に必要な書類

5-1) 「在留資格認定証明書交付申請書」

5-2) 「写真(縦4cm×横3cm)」

5-3) 「配偶者(日本人)の方の戸籍謄本(全部事項証明書)」

5-4) 「申請人の国籍国(外国)の機関から発行された結婚証明書」

5-5) 「配偶者(日本人)の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書」

5-6) 「配偶者(日本人)の身元保証書」

5-7) 「配偶者(日本人)の世帯全員の記載のある住民票の写し」

5-8) 「質問書」

5-9) 「スナップ写真」

5-10) 「392円切手(簡易書留用)を貼付した返信用封筒」

5-11) 「その他」

6. 配偶者ビザを申請した後の流れ

7. 在留資格の変更による配偶者ビザの取得

7-1) 「短期滞在」からの変更

7-2) 「技能実習」からの変更

7-3) 「特定活動(ワーキングホリデー)」からの変更

7-4) 特定活動(難民認定申請中)」からの変更

8. 気をつけるべきその他のポイント

はじめに

国際結婚をされる方、本当におめでとうございます!これからお二人には、たくさんの幸せな日々が待っていることでしょう。

 

とはいえその前に、まずは「国際結婚」の手続きが必要です。結婚後に日本で暮らすなら「配偶者ビザの取得」という難関も控えています。配偶者ビザの取得手続きは、決して甘くはありません。

 

国際結婚をあっせんする悪徳ブローカーや、ビザ目的で偽装結婚をする外国人を排除するために、入国管理局ではとても慎重に審査が行われています。手続きを甘く見ると、ビザが貰えずせっかくの新婚生活が台無しになるかもしれません。

 

そんな不幸を避けていただくため、これから「国際結婚をして配偶者ビザを貰うまでの手続き」について説明します。

手続きの流れから注意点、申請に必要な要件まですべて紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

そもそも配偶者ビザって…

ビザ先生
ご結婚おめでとうございます。

お二人はこれから日本で暮らすそうですが、「配偶者ビザ」の取得準備はできていますか?

ジョン&花子
いえ…実はこれからです。

申請書を書いたり書類を集めたりと大変そうなイメージはあるんですが、手続きの内容もよくわからないですし、何から手を付けたら良いのかさっぱりです。

ビザ先生
そうでしたか。ではお二人にもよくわかるように、国際結婚から配偶者ビザを貰うまでの流れと注意点を具体的に説明していきますね。
ジョン&花子
よろしくお願いします!
ビザ先生
ところでお二人は「ビザ」と聞いてどんなイメージを持っていますか?
ジョン&花子
パスポートに貼り付けるシールみたいなやつですよね?

「相手の国に入るための許可証」みたいなものでしょうか?

ビザ先生
そういうイメージを持つ方が多いですよね。

ただ厳密にいうと「ビザ」というのは許可証などではなく、空港などで入国審査を受ける際に必要となる書類の一部に過ぎないんです。

ビザがあるから絶対に入国できるというわけではないんですよ。

ビザ先生
一方「配偶者ビザ」とか「結婚ビザ」という場合は、ちょっと意味が違います。

日本では入国しようとする外国人向けに27種類の「在留資格」を用意していますが、この「在留資格」のことを「ビザ」と呼ぶ人が多いんです。

用語としては不正確ですが、お二人にわかりやすく説明するために、この先も「配偶者ビザ」という言葉を使っていきますね

国際結婚の手続きはどっちの国が先?

ビザ先生
ところで国際結婚の手続きはもう終わりましたか?
ジョン&花子
それも、これからなんです。日本の役所を先にした方がいいのか、外国で先に手続きした方がいいのか迷っています。
ビザ先生
そうなんですね。

国際結婚の手続きや要件は国によって違うので、どちらを先にしたほうが良いかは一概にはいえません。

一般には、当事者が今いる場所や結婚後の生活拠点、相手がビザ免除で来日できるかどうか?などの事情に合わせて決めることがほとんどです。

ビザ先生
ただ日本の国際結婚手続きはそれほど複雑ではないですし、きちんと結婚要件を満たしていれば特に問題ありませんから、先にしても後にしても特に問題ないと思いますよ。

 

ちなみに日本で国際結婚の手続きをする場合、必要な書類は下記の4点です。

・婚姻届

・(日本人配偶者の)戸籍謄本

・(外国人配偶者の)パスポート

・(外国人配偶者の)婚姻要件具備証明書、もしくはそれに代わる書類

 

ビザ先生
最後の「婚姻要件具備証明書」は相手の国の在日大使館や領事館で発行してくれますが、国によっては「婚姻要件具備証明書」という制度がなくて、代わりに「宣誓書」など別の書類を発行してくれることもあります。

 

ビザ先生
いずれにしても、これらの書類を役所に受理してもらえれば日本での結婚手続きは完了です。書類を提出する際は二人で役所に行っても良いですし、どちらか片方だけ、あるいは代理人に行ってもらってもOKですよ。

 

ジョン&花子
ずいぶん簡単ですね!外国側の手続きはどうですか?

 

ビザ先生
日本で外国の結婚手続きをする場合は、まず在日大使館や領事館に問い合わせるのが一番です。国によって揃える書類が違いますし、書類以外の要件が必要な場合もありますから。

 

ジョン&花子
わかりました!さっそく問い合わせてみます。

配偶者ビザの取得パターン

ビザ先生
では次に、配偶者ビザを取得する際のパターンを説明します。…と、その前に、お二人はどうして配偶者ビザを取りたいんですか?
ジョン&花子
えーっと…日本人と外国人が結婚するから…かな?
ビザ先生
配偶者ビザというのはあくまで「日本での在留資格」なので、国際結婚をしても相手の国や日本以外の第三国で生活する限り、日本の配偶者ビザは必要ありません。それに普段は外国に住んでいて、親族訪問や観光などで一時的に日本を訪れるだけなら「短期滞在ビザ」で十分なケースがほとんどです。アメリカを含め、90日間の滞在までビザが免除される国も多いですよ。
ジョン&花子
じゃあ配偶者ビザって、何のためにあるんですか?
ビザ先生
日本で結婚生活を送る場合など、長期滞在する際に必要なんです。短期滞在ビザやビザなしで日本に滞在できるのは90日以内と決められているので、それ以上日本に滞在するなら目的に合わせたビザの取得が必要になります。
ジョン&花子
なるほど、わかりました。私たちも日本で生活するつもりなので、やっぱり配偶者ビザが必要ですね。
ビザ先生
そうですね…それでは話を戻しましょう。配偶者ビザの取得には、大きく分けて5つのパターンがあります。

1:「外国に住んでいる夫や妻を日本に呼ぶ」パターン

ビザ先生
具体的には、日本人の配偶者がすでに日本に住んでいて、外国人の配偶者を日本に呼び寄せるというものです。
ジョン&花子
わたしたちはこのケースですね。
ビザ先生
そうですね。それぞれの国で落ち着いて準備ができるという意味でも、一番安心な方法だと思いますよ。

2:「海外に住む夫婦が一緒に日本に移住する」パターン

ビザ先生
よくありがちなケースに見えますが、実はこの方法、割と難易度が高いんです。
というのも「夫婦が一緒に日本に移住」する場合、移住時点では仕事が決まっていない(=無職)ことが多いですよね。
配偶者ビザの要件には「安定した収入」が含まれているので、「グローバル企業で働く方が日本に赴任する(帰国する)」というケースでもない限りなかなか認められません。
ジョン&花子
片方が先に帰国したほうが良いということですか?
ビザ先生
そうですね。
現実にも、まずは日本人の配偶者が先に帰国して、仕事を確保した上で外国人の配偶者を呼び寄せるケースがほとんどです。

3:「短期滞在ビザ・ビザ免除で来日し、配偶者ビザに切り替える」パターン

ビザ先生
この方法は、原則禁止されています。
ジョン&花子
なぜ禁止なのですか?
ビザ先生
通常、配偶者ビザの審査では在外公館(海外の日本大使館や総領事館)というところが申請者の過去の犯罪歴などを調査します。
この調査は日本国内では行えないので、もし先に短期滞在ビザなどで日本に入国してしまうと重要な調査を回避することになってしまうんです。
もちろん特例として認められることもあります。

4:「中長期ビザで滞在している人が配偶者ビザに切り替える」パターン

ビザ先生
短期ビザやビザなしの場合と違い、比較的よくあるケースです。具体的には留学ビザや、いわゆる就労ビザからの変更が考えられます。
変更が認められるかどうかのポイントは、「素行が善良であること」と「在留期限ギリギリではない」ことです。
ジョン&花子
「素行が善良」というのは、犯罪者じゃないということですか?
ビザ先生
犯罪行為に限った話ではありませんよ。
たとえば留学ビザでの滞在なら「ちゃんと学校の授業に出席していたか」などが審査で考慮されます。
すでに発給されているビザの目的に従って行動しているなら、そんなに心配する必要はありませんね。
ジョン&花子
「在留期限ギリギリ」もまずいんですね?
ビザ先生
そうです。
留学ビザや就労ビザが切れる直前に配偶者ビザへの変更を申し出ると、日本での滞在期間を延長するための「偽装結婚」ではないかと疑われる可能性がありますからね。
ビザ先生
ちなみに配偶者ビザというのは、他の中長期ビザと比較すると「かなり魅力的なビザ」なんです。
たとえば留学ビザは「大学,専門学校,日本語学校等の学生」に与えられる在留資格なので、就労は禁止されています(アルバイトをする場合は「資格外活動許可」が必要)。
また18種類の就労ビザも専門職や技術職などに就く人の在留資格なので、単純労働への転職が認められなかったり、同一職種内で他企業に転職する場合でもビザの変更手続きが必要です。
ビザ先生
ところが配偶者ビザには就労の制限がないので、職業を自由に選べます。おまけに永住ビザへの変更も簡単です。
他の中長期ビザから切り替えたいという需要が多いのも納得ですよね。

5:「日本人と離婚し、別の日本人と再婚して配偶者ビザを更新する」パターン

ビザ先生
これも「偽装結婚」を疑われやすいケースです。
前婚の期間が短い場合や、配偶者ビザを更新した直後に前婚を解消している場合は特に疑われます。
ビザ先生
また前婚のパートナーと離婚や死別したあとに、その事実を「14日以内」に入国管理局へ届け出たかどうかも大きなポイントになります。
うっかりにしても故意にしても、もし届け出を忘れていれば入管法違反ですから、「素行が善良」とは言えませんよね。

配偶者ビザの審査をパスするには

ジョン&花子
配偶者ビザを取るにはいろいろなパターンがあることがわかりました。
今のお話を聞く限り、私たちは大丈夫そうですね。
ビザ先生
そうですね…パターンとしては一番ポピュラーなので、特に心配いりません。
ただ配偶者ビザの審査では相当細かい部分までチェックされますし、きちんと要件を満たしているということを、自分の方から「証明」しなくてはいけないんです。
ジョン&花子
具体的にはどんなことを証明するんですか?
ビザ先生
配偶者ビザの2つの要件、「安定的かつ継続的な収入」と「婚姻の真実性」を証明します。
順番に説明しますね。

(1) 「安定的かつ継続的な収入」の要件

ビザ先生
配偶者ビザを取得するパターンの2番目でもお話ししましたが、配偶者ビザの要件には「安定した収入」が含まれています。
平たく言えば、夫婦がきちんと生活できるお金を定期的に稼げるか?ということです。
ジョン&花子
正社員なら大丈夫ですか?
ビザ先生
そうですね、夫婦の少なくとも一方が正社員なら、それほど問題はないと思います。
ただ契約社員やアルバイトの場合は「雇用形態が不安定」と思われがちですし、収入の低さもネックになりそうです。
ビザ先生
もちろん結婚そのものは財産や収入に関係なく成立しますが、「日本に住む」となると話は別です。
社会福祉や公的扶助といった社会保障制度も関係してくるので、明らかに社会に負担をかけそうな外国人にビザを出すのは難しいんです。

(2) 「婚姻の真実性」の要件

ジョン&花子
「婚姻の真実性」って、なんだか不思議な言葉ですね。
ビザ先生
ちょっと耳慣れない言葉ですが、要するに「偽装結婚ではない」ということですよ。
日本へ出稼ぎをする手っ取り早い手段として、偽装結婚で配偶者ビザを取得しようとするのは割とよくあるケースなんです。
ビザ先生
ただ、まっとうな結婚なのに偽装結婚と疑われるのも不愉快ですよね。
ですから申請時にうっかりミスをしないよう、まずは疑われそうなパターンを理解しておきましょう。

 

【疑われやすいケース1:対面での交際が短い】

配偶者ビザの申請では「質問書」という書類に記入するんですが、そこには「交際から結婚までどのくらいか」「どうやって交際していたか」といったプライベートな内容も含まれます。

交際から結婚まで極端に短い「スピード婚」だったり、SNSサービスなどインターネット越しの交際がほとんどで直接会った形跡がない、ということだと、偽装結婚を疑われるのも無理ないですよね。

もちろんまっとうな結婚でも、スピード婚やインターネット越しの交際はあり得ます。でもそれを入国管理局に納得してもらうのは大変でしょう。

 

【疑われやすいケース2:年齢差が大きい】

夫婦の年齢差があまりに大きい場合も、偽装結婚が疑われます。特に日本人の配偶者が高齢で、外国人の配偶者が若い(つまり、働き盛り)の場合は要注意です。

年齢差は努力や工夫でどうにかできるものではないので、まっとうな結婚なのに年齢差があるという場合、交際の証拠や経済状態などの要件で挽回する必要がありますね。

 

【疑われやすいケース3:交際の証拠が少ない】

交際の証拠というのは、たとえば「写真」などです。実際、入国管理局に配偶者ビザの申請書類を提出する際には、夫婦で写っていて容姿がはっきり確認できるスナップ写真を2葉から3葉提出することになっています。

といっても、たった2、3枚の写真で交際を証明するのは難しいですよね。その程度なら偽装結婚する人たちでも用意できるでしょうし。少しでも審査を有利に進めたければ、交際期間を幅広く確認できる十分な写真を集めた方が無難だと思います。

 

【疑われやすいケース4:相手の家族に会ったことがない】

結婚前にお互いの両親や保護者に挨拶するのは、なにも日本だけの習慣ではありません。基本的にはどの国でも親族との交流は当たり前ですから、その「当たり前のこと」ができていない場合は注意が必要でしょう。

また偽装結婚を企む人たちにしても、自分の家族を巻き込むことには比較的抵抗があるようです。ですからまっとうな結婚であることをアピールするためにも、よほどの事情がない限り「互いの家族に会って結婚を報告する」ようにお勧めします。

もしどうしても相手の国に行けない場合は、「行けない理由」を説明できることが大切ですね。

 

【疑われやすいケース5:身元保証人の経済状態が悪い】

身元保証人というのは、日本人側の配偶者のことです。その「経済状態が悪い」というのは、たとえば無職で収入がないとか、不安定な非正規雇用で収入が少ないなどのケースが考えられます。また配偶者ビザの申請時には「納税証明書」を一緒に提出するんですが、収入が極端に低いために「非課税証明書」しか提出できない場合も要注意です。

なぜこうしたケースが疑われるかというと、偽装結婚の「日本人配偶者役」を引き受ける人はお金に困っている場合が多いからです。報酬に目がくらんで偽装結婚を引き受けるわけですね。

とはいえ身元保証人の経済状態が悪いということは、そもそも「安定的かつ継続的な収入」という一つ目の要件をクリアできないということ。配偶者ビザの申請を認めてもらうのは非常に難しいでしょう。

もっとも、海外赴任中に日本の住民登録を抹消していたとか、最近になって十分な収入が入るようになったという場合も「非課税証明書」しか提出できません。偽装結婚と疑われることがないよう、しっかり説明しなければいけませんね。

 

※以上が配偶者ビザを取得する「要件」と、「証明」すべきポイントです。

配偶者ビザ申請に必要な書類

ビザ先生
さて、いよいよ配偶者ビザに必要な書類についてお話ししましょう。
ジョン&花子
さっそく集めてきます!
ビザ先生
急ぎたい気持ちはわかりますが、焦りは禁物です。
うっかり間違えて却下されると、時間も手間もムダになってしまいますからね。
まずはそれぞれの書類が必要となる「意味」を理解して、間違いのないようにしましょう。
ジョン&花子
はい、わかりました。
ビザ先生
それでは説明しますね。
配偶者ビザの交付申請は正式には「在留資格認定証明書交付申請(日本人の配偶者)」といって、法務省のホームページに詳しい手続案内が掲載されています。
まず必要書類等をざっと抜き出してみると、こんな感じです。

 

1:在留資格認定証明書交付申請書 1通
2:写真(縦4cm×横3cm) 1葉
3:配偶者(日本人)の方の戸籍謄本(全部事項証明書) 1通
4:申請人の国籍国(外国)の機関から発行された結婚証明書 1通
5:配偶者(日本人)の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの) 各1通
6:配偶者(日本人)の身元保証書 1通
7:配偶者(日本人)の世帯全員の記載のある住民票の写し 1通
8:質問書 1通
9:スナップ写真(夫婦で写っており,容姿がはっきり確認できるもの)2~3葉
10:392円切手(簡易書留用)を貼付した返信用封筒
11:その他
(1)身元保証人の印鑑
(2)身分を証する文書等 提示

順番に説明しましょう。

 

1. 「在留資格認定証明書交付申請書」

ビザ先生
合計4枚の申請用紙で、このうち3枚には写真貼付欄や名前や住所を書く欄、チェックボックスなどがあらかじめ印刷されていて、そこに必要次項を記入していきます。
法務省のWEBサイトからPDFかEXCEL形式でダウンロードできますよ。
ジョン&花子
何度でも印刷できるから、気楽に記入できますね。
ビザ先生
そうですね…でもいい加減な内容を書いてしまわないよう、しっかり注意してくださいね。

 

2. 「写真(縦4cm×横3cm)」

ビザ先生
在留資格認定証明書交付申請書に貼り付ける「外国人配偶者の証明写真」です。
あくまで申請者(外国人配偶者)の写真ですから、間違えて日本人の写真を貼らないようにしてくださいね。
注意点は、直近3ヶ月位内に撮影したものであること、まっすぐ前も向いていること、無背景であること、帽子をかぶっていないこと、そして鮮明であることです。
ビザ先生
ちなみにこの写真は「在留カード」という身分証にも使われますよ。

 

3. 「配偶者(日本人)の方の戸籍謄本(全部事項証明書)」

ビザ先生
法務局で発行してもらいます。パスポートを作るときにも必要な書類なので、多くの方にとっておなじみかもしれませんね。
ビザ先生
配偶者ビザの申請では、主に「日本で法律上の結婚が成立しているかどうか」を確認するために使われます。
その他にも必要に応じて、離婚歴があるか、子供がいるか、などの確認に使われることもあります。
直近3ヶ月以内に取得したものを提出してくださいね。

 

4. 「申請人の国籍国(外国)の機関から発行された結婚証明書」

ビザ先生
「外国人配偶者の国でも結婚が成立しているかどうか」の確認に使う書類です。
在日大使館や領事館などで発行してくれる場合もあれば母国から直接取り寄せるケースもあるので、できるだけ早めに問い合わせておきましょう。
注意点は、日本語に翻訳した文書も一緒に添付することです。

 

5. 「配偶者(日本人)の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書」

ビザ先生
日本人の配偶者が住んでいる(住民票の住所がある)地域の、市役所・区役所・町役場・村役場で発行してもらいます。
目的は「所得の確認」と「きちんと納税しているか」の確認です。
ビザ先生
安定的かつ継続的な収入があるか、身元保証人の経済状態はどうか、「素行が善良」かといった判断にも使われるので、とても重要な書類ですよ。
実際、この書類に問題があるために配偶者ビザの申請に失敗するケースも多く見られます。
特に税金を滞納したままだとビザの取得はほぼ絶望的なので、申請前に必ず納めておくようにしてくださいね。

 

6. 「配偶者(日本人)の身元保証書」

ビザ先生
この書類は必ず日本人配偶者が書いてください。
一般に「保証人」というと賃貸やローンの保証人を連想しますが、この場合は万一の場合に家賃や借金を肩代わりするのが目的なので、経済力さえあれば基本的に誰でもOKです。
でも配偶者ビザを申請するときの身元保証人には「日本の法律を守るように指導する」といった経済面以上の保証が求められます。
ですから「日本人配偶者に代わって親や親族が保証人になる」ことはできないんです。
ビザ先生
どうしても経済面などに不安がある場合は「日本人配偶者に加えて親や親族が保証人になる」ことも可能ですが、一方で「経済力がない」と自己申告するようなものなので、慎重に判断してください。

 

7. 「配偶者(日本人)の世帯全員の記載のある住民票の写し」

ビザ先生
日本人の配偶者が住んでいる(住民票の住所がある)地域の、市役所・区役所・町役場・村役場で発行してもらいます。
比較的身近な書類なので、特に難しいことはありません。
ビザ先生
配偶者ビザの申請では、「入国管理局の管轄」の確認と「世帯人数」を把握するために使用されます。ですからその住所に実際に住んでいる人数にかかわらず「世帯全員」の情報を記載した住民票を手に入れるようにしてください。直近3か月以内に取得したものを提出しましょう。

 

8. 「質問書」

ビザ先生
この書類はとても重要です。
安定的かつ継続的な収入があるか、交際期間はどれくらいか、どうやって交際していたか、家族や親族との交流はあるかなど、配偶者ビザの発給要件を確認するのに使われます。
ビザ先生
全部で8ページもあるため大変ですが、この書類の出来栄え次第で配偶者ビザを貰えるかどうか左右されるといっても過言ではありません!しっかり考えながら書いてくださいね。

 

9. 「スナップ写真」

ビザ先生
先ほども説明した通り、「婚姻の真実性」を確認する大事な証拠です。
夫婦で写っていて容姿がはっきり確認できるものを、2~3枚といわずできるだけ集めておきましょう。

 

10. 「392円切手(簡易書留用)を貼付した返信用封筒」

ビザ先生
入国管理局から書類を返送する際に使います。

 

11. 「その他」

ビザ先生
その他に必要なものは、「身元保証人の印鑑」「身分を証する文書等」です。このうち「印鑑」はすべての申請に必要ですが、「身分を証する文書等」の方は、配偶者ビザの申請を「本人」以外の人が提出する場合に必要となります。
ビザ先生
ちなみに「本人」というのは配偶者ビザを取得したい外国人の配偶者で、本人以外の人というのは、国によってあらかじめ指定されている代理人です。「入国管理局長に届け出た行政書士」もその中に含まれていますよ。

配偶者ビザを申請した後の流れ

ジョン&花子
ビザの申請に必要な書類については理解できました。
申請書を提出した後の流れについても教えていただけますか?
ビザ先生
わかりました。
まず、先ほどお話しした「配偶者ビザの取得パターン」を思い出してください。

① 外国に住んでいる夫や妻を日本に呼ぶ

② 海外に住む夫婦が一緒に日本に移住する

③ 短期滞在ビザ・ビザ免除で来日し、配偶者ビザに切り替える

④ 中長期ビザで滞在している人が配偶者ビザに切り替える

⑤ 日本人と離婚し、別の日本人と再婚して配偶者ビザを更新する

ビザ先生
このうち1と2は「日本への入国に合わせてビザを新規に取得する」パターン、3~5は「すでに日本に入国していて、既存のビザを切り替える」パターンです。
ビザ先生
先ほど説明した書類は「日本への入国に合わせてビザを新規に取得する」際のものですから、ここでは特に1の流れを念頭に置きながら説明しますね。
ジョン&花子
よろしくお願いします!
ビザ先生
まず申請書を含む書類一式を提出します。提出先は、原則として親族の住所地を管轄する地方入国管理局・支局・出張所です。
ビザ先生
地方入国管理局は全国8ヶ所、支局は7ヶ所、出張所は61ヶ所にあるので、申請の際は「自分の担当となるのはどの入国管理局(もしくは支局・出張所)か?」をしっかり確認してくださいね。
ビザ先生
申請書が提出されると、最初に法務省・入国管理局で審査されます。ここでは申請された内容に応じて、以下の4分類に振り分けられると言われています。

(1)許可が相当・(2)慎重な審査が必要・(3)不許可が相当・(4)追加資料が必要

ビザ先生
このうち4に振り分けられた場合は「追加書類提出通知書」が届きます。ストレートに「許可相当」とならなかった以上、なにかしらの問題があるのは間違いありません。ですから慎重に対応してください。できれば経験豊富な専門家に相談したほうが良いでしょう。
ビザ先生
入国管理局の審査を無事に通過すると「在留資格認定証明書」が発行されるので、申請人(外国人配偶者)はそれを自国の在外公館(日本大使館や総領事館)に提出します。

「在留資格認定証明書」の提出を受けた在外公館は、申請者の「過去の犯罪歴」などを調査して、最終的に問題がなければ配偶者ビザが発行されます。

ジョン&花子
入国管理局と大使館などが二重チェックするんですね。
ビザ先生
そうですね。在留資格を与えるには、それだけ慎重な調査が必要ということです。
ですから「これぐらいならわからないだろう」と適当な申告やウソの申告をすると、かなりの確率で見抜かれてしまいます。それに入国管理局がOKを出しても、在外公館がNGと判断したら入国は認められないんですよ。
ビザ先生
ただ、短期滞在ビザやビザなしで入国した人が日本国内で配偶者ビザへの切り替えを申請すると、在外公館によるチェックができません。相手国での過去の犯罪歴などは法務省や入国管理局で調べることができないので、在外公館による審査を回避するような申請は認められないのが原則なんです。

在留資格の変更による配偶者ビザの取得

ビザ先生
お二人にはあまり関係ないんですが、在留資格の変更による配偶者ビザの取得についても説明したいと思います。
ジョン&花子
はい、よろしくお願いします。
ビザ先生
まずはおさらいしましょう。
多くの人が「ビザ」と呼んでいるものは、実は厳密にはビザではなく27種類の「在留資格」のことでしたね。
そしてお二人が取得したい「配偶者ビザ」も、正確には「日本人の配偶者等」という在留資格です。
ビザ先生
配偶者ビザというのは、他の中長期ビザと比較すると「かなり魅力的なビザ」です。
たとえば留学ビザは「大学,専門学校,日本語学校等の学生」に与えられる在留資格なので就労は禁止されています。また18種類の就労ビザも専門職や技術職などに就く人の在留資格ですから、単純労働への転職が認められなかったり、同一職種内での転職にもビザの変更手続きが必要です。
ビザ先生
一方、配偶者ビザなら職業を自由に選べますし、永住ビザへの変更も簡単です。ですから他の中長期ビザから切り替えたいというニーズはとても多いですね。

ところでお二人は、中長期の在留資格から配偶者ビザへの変更が認められるかどうかのポイントを覚えていますか?

ジョン&花子
ええと…「素行が善良であること」と「在留期限ギリギリではない」ことでしたっけ?
ビザ先生
その通りです。
特に「素行が善良であること」には、本来の在留資格に見合った行動をしていたかどうかも含まれます。
留学ビザなのに学校に通っていないとか、就労ビザの種類に合った専門職・技術職に就いていない(転職した)、転校や転職の通知をしていないなどは入管法違反なので、「素行が善良」とは言えませんよね。
ビザ先生
本人に自覚がなかったり「大した事ではない」と思っていても、入国管理局は厳しくチェックしています。ですから在留資格の変更というのは、新規の在留資格取得より難易度が高い手段なんです。
ジョン&花子
私たちは新規の申請なので、少し安心しました。
ビザ先生
そうですね。…ちなみに中長期の在留資格を持つ人が国際結婚した場合でも、在留資格の種類や期限によっては配偶者ビザ(在留資格「日本人の配偶者等」)に切り替えなくて良いケースもあります。
ビザ先生
代表例は「永住者」の在留資格です。そもそも日本に永住する資格があるわけですから、配偶者ビザに変更する必要がありません。また留学ビザや18種類の就労ビザでも、結婚後に学生を続けたり同じ会社で働き続ける場合は、在留期限が残っている限り配偶者ビザに変更しなくても大丈夫です。

注意が必要なのは、それ以外の在留資格です。ここでは4つのパターンを説明します。

1) 「短期滞在」からの変更

ビザ先生
何度かお話しした通り、原則禁止です。
ただ「原則」ということは、例外もあるということですよね。
ちなみに入国管理法にはこう書いてあります。
ビザ先生

“短期滞在の在留資格をもって在留する者の申請については、やむを得ない特別の事情に基づくものでなければ許可しないものとする。”

そして法務省のホームページにはこう書かれています。

“在留資格「短期滞在」に係る在留期間の更新は、原則として、人道上の真にやむをえない事情又はこれに相当する特別な事情がある場合に認められるものであり、例えば、病気治療をする必要がある場合などがこれに当たります。”

ジョン&花子
「人道上の真にやむをえない事情」ですか。
あまりピンときませんね。
ビザ先生
そうなんです。
一応「病気治療をする必要がある場合など」と書かれていますが、短期滞在ビザで入国した人が急病で深刻な状態になることなど滅多にないでしょうし、ましてや配偶者ビザに変更する理由としてはピンときませんよね。
ですから短期滞在ビザから配偶者ビザへの変更は、専門家以外にはほぼ不可能と言えるくらい難しいでしょう。

2) 「技能実習」からの変更

ビザ先生
技能実習生というのは、日本で学んだ技術を母国の経済・産業に活かすために派遣された人たちです。ですから本来は滞在期限の終了後(技能実習期間の終了後)に帰国するのが筋ですが、滞在中に知り合った日本人と結婚して日本に住む人も少なくありません。ただし、在留資格「技能実習」から「日本人の配偶者等」に変更することはとても難しいんです。
ジョン&花子
どうしてですか?
ビザ先生
技能実習制度の趣旨から外れてしまうので、本人と母国側の送り出し機関とでけじめをつけてもらうためです。また日本側の受け入れ機関(事業組合など)も、技能実習生が辞めた場合は帰国することを条件としていることが多いですね。
妊娠して帰国できる状態でないなどの特殊な事情があれば別ですが、そうでなければ、一度帰国して新規に配偶者ビザを申請したほうが確実です。

3) 「特定活動(ワーキングホリデー)」からの変更

ジョン&花子
「特別活動」って何ですか?
ビザ先生
就労系の在留資格や身分による就労資格以外で、場合によっては就労が認められる場合もある幅の広い在留資格です。
たとえば「外交官の家事使用人(メイド)」とか「アマチュアスポーツ選手」などがそうです。
外国人の青年が働きながら休暇を楽しむ「ワーキングホリデー」もこれに含まれます。
ビザ先生
ワーキングホリデー中に日本人と知り合って結婚することは特に珍しくないですし、在留資格を配偶者ビザに切り替えることも禁止されていません。ただ国同士の取り決めで、一部の国籍の方はいったん帰国することになっています。
ジョン&花子
国籍によって難易度が変わるんですね。

4) 「特定活動(難民認定申請中)」からの変更

ビザ先生
ちょっと特殊な事例ですが、政治的・宗教的な迫害を受けて母国から逃れ、日本へ難民認定申請をしている人にも「特別活動」の在留資格が与えられます。基本的には、この場合も配偶者ビザへの変更は特に禁止されていません。
ビザ先生
ただ難民認定を申請する人には、本当にいろいろな人がいるんです。
ジョン&花子
いろいろな人、というと…?
ビザ先生
わりとよくあるのが「本当は迫害を受けていない」ケースです。
ただ日本で就労したい、より豊かな暮らしをしたいという理由で、難民を装って来る人がいます。
これは虚偽申請にあたるので、もちろん入管法違反です。
ということは「素行が善良であること」という要件に当てはまらないので、バレた時点で在留資格の更新や変更は難しくなりますよね。
ビザ先生
そういうわけで難民申請中の人が配偶者ビザへの変更を申請する場合、相当慎重に調査されると思った方が良いでしょう

気をつけるべきその他のポイント

ビザ先生
以上で、配偶者ビザの申請の流れや注意点、要件についてほぼ説明し終わりました。
何か質問はありますか?
ジョン&花子
いくつか気になることがあります。
わたしたちはお互いの国の言葉がだいたい話せますが、もしどちらかが相手の国の言葉をまったく話せない場合でも、配偶者ビザは貰えますか?
ビザ先生
たしかに気になる点ですね。
先進国の中には、語学検定で自国語の成績が一定以上でないと配偶者ビザを認めない国もあります。
ビザ先生
日本の場合は、配偶者ビザ申請用紙の中の質問書に「語学力」や「普段の会話で使う言語」を記入する欄がありますが、日本語検定などの成績による縛りは特にありません。仮に日本語がまったく話せなくても、それを理由として配偶者ビザの発給を拒否されることはないと思いますよ。

ただ、国際結婚する夫婦がお互いの国の言葉をほとんど話せない、もしくはカタコトしか話せないということになると、日常のコミュニケーションに支障がありますよね。この場合は偽装結婚を疑われても仕方ないケースになります。

ビザ先生
入国管理局の担当者に「許可が相当」と認めてもらうためにも、語学力を証明できる追加資料を用意しておくことをお勧めします。
ジョン&花子
なるほど、わかりました。
ところで別の質問になりますが、過去に「離婚歴」があると、配偶者ビザの申請で不利になることはありますか?
ビザ先生
離婚歴自体が配偶者ビザの審査で不利になることはありませんよ。
仮に離婚の理由が不倫であっても、刑法上の犯罪を犯したわけではないので「素行が善良であること」という要件にもひっかからないと思います。
ビザ先生
ただ自分たちの結婚の経緯を変に誤魔化そうとすると、質問書のつじつまが合わなくなったり、不自然な内容になることがあります。そうすると偽装結婚の疑いを持たれてしまうかもしれません。まっとうにお付き合いしていたことを証明したくても不倫期間中の写真を準備できる人はほとんどいませんから、どうしても証拠が弱くなるのも痛いですね。
ジョン&花子
たしかにそうですね。
よくわかりました。
最後にもうひとつだけ質問させてください。
もし配偶者ビザの申請に失敗したら、再申請のときに不利になりますか?
ビザ先生
ちょっと難しい問題ですね。
「再申請だから特別に不利」ということはないんですが、少なくとも同じ内容の申請書を提出しても認めてもらえる可能性はないと思います。
「タイミングを変えれば大丈夫」とか「別の担当者なら認めてくれるかも」といった甘い考えは通用しません。
ビザ先生
というのも、入国管理局の審査は個人の判断で行っているわけではなく、組織として審査して、組織のトップ(入国管理局長)の名前で通知されるんです。ですから担当者の裁量でどうにかなる問題ではないんですね。
ビザ先生
もちろん不許可になった理由をしっかりクリアして再申請すれば、無事に配偶者ビザを貰える可能性は高いです。
ビザ先生
ただ自分の書いた申請書を冷静に分析して、必要な修正をきちんとできる人はそれほど多くありません。大抵の場合、なにをどう書けばいいかわからなくて断念したり、ポイントのズレた申請書で再申請して不許可になるというパターンを辿ってしまいますね。
ジョン&花子
そうですか…。
ということは、一度失敗したらあきらめたほうが良いのでしょうか?
ビザ先生
そんなことはありません。
今の話はあくまで「本人が自力で申請する場合」です。
専門家…たとえばビザの申請が得意な行政書士などに依頼すれば、配偶者ビザを取得できる可能性はぐっと上がりますよ。
ビザ先生
貴重な時間をムダにしないためにも、できれば最初の申請から専門家に相談することをお勧めします。
ジョン&花子
そうですね、わかりました!
そのときは先生に相談させてください。
ビザ先生
ぜひご相談ください。
お二人の幸せをお祈りしています!