国際結婚手続きはどのくらい大変か知ってる?動く前に調べよう!

国際交流の機会も増え国際結婚も日常的になっている昨今ですが、日本人同士の結婚と比べ、国際結婚の場合は行政手続きはより複雑になっています。

 

婚姻届けから苗字変更、戸籍変更、配偶者ビザ取得まで、あらゆる難関が待ち構えています。結婚したのはいいけれど、相手の国や条件によっては手続きが長期化することもあり、安定した暮らしを得るまで長期戦の覚悟が必要になることも。

 

そんな煩わしさをなくすためにも、結婚前に必要な手続きを予めお勉強しておきましょう。

 

1. 婚姻届を出す

(1) 婚姻届の提出は日本または相手国どちらで先にすべきか

カップルの現在の居住地が日本ならばまずは日本で婚姻届けを提出する、というのが一般の流れですが、両者あるいは一方が相手国の外国に居住の場合は、相手国が先、という選択肢もあります。

 

相手国がどの国かにもよりますが、日本は他の先進国と比べても婚姻届の必要書類も少なく、事務的手続きが圧倒的にスムーズに進みますから、日本で先に行うのをお薦めします。

 

また、中国、アメリカ、ロシアなどの国では日本での結婚手続きを先に行った場合、相手国で改めて結婚手続きを行う必要がありませんが、韓国、台湾、ベトナム、ドイツ、スペイン、フィリピンなどの国では、日本で先に結婚をしても相手国の役所に改めて結婚届を提出する必要があります。

(2) 婚姻届に必要な書類

日本の役所で婚姻届を出す場合、必要書類は以下の通りです。

 

・婚姻届書:居住地の市区町村の役所で配布。20歳以上の証人2人の署名と押印が必要。

・戸籍謄本:日本人配偶者のみ必要。本籍地の市区町村の役所に届け出る場合は不要。

・パスポート:外国人配偶者の国籍を証明するものなら他の証明書でも可。

・婚姻要件具備証明書:下記にて説明

 

婚姻届が受理されたら、役所で「婚姻届受理証明書」を発行してもらい、その他の必要書類と共に相手国の駐日大使館または領事館に提出し、婚姻の届け出をします。

(3) 婚姻要件具備証明書とは?

婚姻要件具備証明書とは、外国人配偶者が母国の法律で定められた婚姻資格を満たしていることを証明するための書類で、以下の内容を証明します。

・相手の外国人が独身であること

・相手の国の法律で、結婚することに問題がないこと

例えば重婚を避けるために配偶者自身が独身であること、婚姻できる年齢にあることなどを証明するものです。

婚姻用件具備証明書の申請に必要な書類は以下の通りです。(一例)

 

【外国人側の必要書類】

・3ヵ月以内に発行された出生証明書

・質問表2枚

・身分証明書のコピー

 

【日本人側の必要書類】

・3ヵ月以内に発行された戸籍謄本と現地語訳文

・質問表1枚

・パスポートのコピー

 

この証明書は相手国の駐日大使館や領事館で発行しており、日本語の翻訳が必要です。翻訳はプロに頼んでもいいし、自分で翻訳したものでも受理可能です。

 

ただし、相手の国によっては婚姻要件具備証明書を発行していない国もあり、代わりに婚姻証明書、公証人証書、独身証明書、代替書類などが発行される国もあるので、予め相手国の在日大使館や領事館で確認が必要です。

 

例えば「代替書類」には「宣誓書」と呼ばれるものもあり、以下の手順で作成してもらえます。

 

1)相手の外国人が自国の在日領事館へ行き、領事の前で次のことを宣誓する。

・自分は法律で定める結婚年齢に達していること

・日本人との結婚について、法律上問題がないこと

 

2)領事が宣誓の内容を認め「宣誓書」を作成してサインする。

 

「婚姻要件具備証明書」は婚姻届を提出するのに必須の書類ですが、両者、または一方が外国に住んでいる場合は、この証明書ができるまで約1ヵ月半かかるので早めの準備が必要です。

 

2. 日本で苗字変更届を出す

国際結婚の場合、婚姻届を出しただけでは夫婦は別姓のままです。外国には戸籍制度が存在しないため、外国人が日本人の戸籍に入ることができないからです。

 

ただ、日本人が外国人配偶者の苗字に変更することはでき、変更したい場合は婚姻時または婚姻後に婚姻届と苗字変更届を提出すれば変更が可能です。

 

婚姻届提出後から6か月以内ならば、苗字変更届を役所に提出するだけでいいですが、海外在住の場合は在外公館に出向き提出する必要があります。

 

3. 相手国の戸籍に転記する

日本で結婚した後相手の外国に住む場合は、改めて結婚手続きを行う必要がない国以外では、相手国へ戸籍転記する手続きを日本で行わなくてはなりません。

相手国の駐日大使館で転記に関する資料一式をもらい、資料に書かれてある必要書類を駐日大使館に送って日本側の手続きを済ませます。

 

【手続きの手順】

1)日本の役所で「婚姻届記載事項証(有料)」を発行してもらいます。

2)日本の外務省へ出向き、公印確認(日本官憲の公印)付与の依頼をします。東京の外務省や外務省の地方分室への直接依頼の他、郵送依頼も可能です。

3)外務省で受け取った「公印確認付き婚姻届記載事項証」を現地語に翻訳します。翻訳はプロに依頼しても自分で訳してもどちらもOKです。

4)翻訳した書類を外国の役所に届け出ます。

 

4. 配偶者ビザを取得する

結婚後日本で生活する場合は、外国人配偶者が日本で暮らしていくための手続き「在留資格の申請」をしなければなりません。在留資格とは日本に滞在するための資格で27種類ありますが、国際結婚で外国人配偶者に与えられるのが「配偶者ビザ」になります。

他のビザと比べて取得が困難なので周到な準備が必要です。

 

配偶者ビザの取得には以下の4つのケースで申請方法も異なります。

 

(1) 日本在住の日本人配偶者が外国人配偶者を外国から呼びよせる

(2) 外国人配偶者が留学目的などで取得している中長期ビザを配偶者ビザに変更する

(3) 外国に住む国際カップルが同時に日本に帰国する

(4) 外国人配偶者が短期ビザまたはビザなしで来日し日本で配偶者ビザに変更する

 

(1) 日本在住の日本人配偶者が外国人配偶者を外国から呼びよせる

外国にいる外国人配偶者を呼び寄せるには、まず入国管理局で在留資格認定証明書を申請し取得します。在留資格の有効期限は3カ月なので、その3カ月間に法務省入国管理局で審査を受け、次に外務省在外公館(大使領事部、領事館)の審査を受け配偶者ビザを取得することになります。

 

(2) 外国人配偶者が留学目的などで取得しているビザを配偶者ビザに変更する

外国人配偶者が、結婚前に学生ビザや労働ビザなどの資格を取得して日本に滞在している場合は、日本人配偶者の在留資格に変更することができますが、滞在許可の期限が切れるまでは変更しなくても大丈夫です。
この場合も配偶者ビザに変更するには、入国管理局で変更を申請する必要がありますが、既に中長期ビザを持っている場合は変更はスムーズにできます。

 

しかし、留学生として素行が不良だったり留学生なのに仕事ばかりして本業である学問をおろそかにすれば、配偶者ビザの審査においてマイナスポイントとなります。

 

(3) 外国に住む国際カップルが同時に日本に帰国する

日本人が外国に旅行中または留学中に知合い結婚して現地で暮らした後一緒に日本に帰国するケース、海外駐在員が赴任先で知り合った外国人配偶者を連れて一緒に帰国するケースなどがあります。

 

海外駐在員の場合は帰国後仕事が継続され収入も保証されているため、配偶者ビザは取得し易いですが、留学や現地採用などで日本帰国後無職の場合は、日本人配偶者が住居と仕事を確保した後に配偶者ビザを手にするケースがほとんどです。

 

(4) 外国人配偶者が短期ビザまたはビザなしで来日し日本で配偶者ビザに変更する

ビザなし、ビザの期限切れの場合は不法滞在になり、配偶者ビザの審査を通過することはほぼ不可能です。

 

また駐日外国公館では、短期ビザで滞在中の自国民に対して婚姻要件具備証明書を発行しない国が多く、その代替となる「宣誓書」や「独身証明書」を日本の市区町村の役所に提出しても、外国人配偶者がその国の法律上結婚できる身分にあるかどうかの証拠能力に乏しいため、婚姻届をその場で受理することができないケースが多くあります。

 

その場合、市区町村の役所が法務局に対してこの結婚届の受理照会を行い、それに数カ月かかることもあるため、配偶者ビザ取得はかなり長期化することとなります。

5. まとめ

国際結婚は日本で先に婚姻届を提出する方が楽ですが、結婚後外国で暮らす場合でも、相手国のビザ申請に必要な婚姻用件具備証明書は発行まで1カ月半かかりますから、余裕をもって逆算して証明書を申請した方がいいでしょう。

 

国際結婚は日本で先に婚姻届を提出する方が楽ですが、結婚後外国で暮らす場合でも、相手国のビザ申請に必要な婚姻用件具備証明書は発行まで1カ月半かかりますから、余裕をもって逆算して証明書を申請した方がいいでしょう。

 

一方日本で暮らす場合は、配偶者ビザの取得に「住居と安定的かつ継続的な収入の確保」が求められますから、正社員など定職を見つけることが優先されます。

結婚後最初の難関といってもいい面倒な手続きを2人で協力してクリアし、幸せな新婚生活を手に入れて下さいね。